分譲マンション大規模修繕工事の費用について(工事費節約できます)

12年~15年周期は全く根拠なし

マンションの大規模修繕の工事費用ですが、世間一般には100万前後として今や当然のような認識があると思いますがこの価格はあくまでも「12年~15年メンテナンスせず放置した場合の費用」なのです。放置すればするほど劣化は早まりひどくなる一方です。国と業界は自分達の都合でこのようなきちんとした説明をせずに素人の管理組合に「ゆがんだ常識を刷り込んでいる」と私は解釈しています。業界側からみると工事はなるべくまとまった方が工事金額が大きくなり受注的に魅力になるのは当然であり理解はできますが、果たしてお客様側からみるとありがたいことではありません。いくら積立金を貯めても使い果たされてしまいます。

建物はその部位により劣化速度は違います。ここの認識が重要です。私は大規模修繕は不要と思います。建物は劣化するのが当然でありいわゆる自然なことであるので無理して新築のように綺麗に戻す必要はない。予算も限られています。外壁は10年もすると汚れが目立ってくるのでその場合は大規模修繕ではなく「大規模修繕の外壁洗浄」にすることを提案します。外壁に足場を組まずにできるのでとても経済的です。

洗浄して綺麗になったところで「どうしても気になる部位」を個別対応していくピンポイント修繕(分割修繕)がおススメです。

経済的な大規模洗浄 足場はいらない

上の写真にあるように、屋上に赤い色の部分(パラペットクランプ)を設置して黄色の部分にワイヤーを貼り飛散防止のメッシュシートをかけます。ワイヤーにカラビナを付けてスライドするようしておきます。シートの下には災害で使う「土の袋」をつければシートは垂直を保ち安定します。外壁の高圧洗浄を行えば見違えるほど綺麗になります。

50世帯前後で外壁全体面積が3000m2程度ですと仮設費に≒160万、洗浄費用(ロープアクセス工法)で3000m2×@600=180万、諸経費で合計400万ぐらいですので仮に大規模修繕で50世帯×@1,000,000=5000万から見ると1/10の価格で済むのです。

バルコニー側の足場は1列でOK

上の写真(黄色で囲っている)にあるようにバルコニー側も1列足場をかければ大規模修繕が可能です。バルコニー防水や塗装などは作業性を考え一時的にパーテーションを外させてもらうことで可能になります。工事完了まで仮設のパーテーションを設置してプライバシーには配慮することは可能ですがバルコニーに面する入居者のご理解が必要です。この工法をご理解いただければバルコニーの床の長尺シート貼り替えも問題なく可能です。パーテーションを一時撤去するだけで作業性は向上=工事手間の単価が下がるのです。

工事費削減のポイントは足場を極力かけないことしかありませんが、劣化診断調査の結果外壁タイルに剥落の恐れがあり第三者に危険な場合かつ広範囲な不良がある場合は安全性を考慮して足場を架けることが必要です。その場合はミックス足場(ロープアクセス工法+通常足場併用)ですが何もまとめてやる理由はないので分割修繕がおススメです。

修繕工事額を安くするポイント

以下の手順で行えば最も安く修繕工事が可能になりますが、外部のコンサルに第三者修繕専門委員になってもらいアドバイスをうけることが必須です。基本的にロープアクセス工法対応可能業者。

1⃣住民アンケートを行う

ここがポイント!きちんと皆様からの声を確認、不安なことなどを回答してもらいます。調査項目に追加する。

2⃣劣化診断調査(外壁も含めた)を行う(住民アンケート部も含む)

ここがポイント!現状の状態を調査する(利害関係のない第三者が理想)外壁ロープアクセス工法対応できる業者

3⃣診断結果を住民に説明し情報共有する

ここがポイント!アンケートしてくれた皆様に報告会を実施する

4⃣修繕部分を検討する(重要度×緊急度の優先順位仕分け作業)

ここがポイント!無駄な工事は行わないことが大切(不要不急な工事は後回し)

5⃣見積数量を算出する

ここがポイント!修繕箇所の内訳と数量を算出する

6⃣4社ぐらい見積徴収する

ここがポイント!同じ数量表を各社に配布して単価を入れてもらう

7⃣業者決定(実績・保証体制・職人の技術レベル確認・工事完成能力の確認)

ここがポイント!金額だけでは決定しない総合バランスを見る

修繕積立金・一時金徴収はしない

従来と同じ工事をしていたら修繕積立金と一時金徴収は免れませんが、発想と手法を変える(世間一般、皆がやっているからをやめる)ことにより修繕積立金・一時金は徴収が不要になるのです。

修繕積立金は潤沢にしておきましょう

修繕積立金が潤沢にあることでマンションの資産価値は向上し売却の際でも選ばれるマンションになります。また修繕記録は建物カルテとして残すことで世代交代の際の引継ぎやマンション購入者から見ると「管理が行き届いている優良なマンション」という評価が受けられるメリットは大きいのです。高齢化対応で共用部に手すりやスロープなど機能的にやることが年々増えていきますので修繕積立金を温存しておきましょう。