大規模修繕の無足場工法の安全性
本足場(楔ビケ足場)より安全?
大規模修繕の無足場工法の安全性について「とても危険」「品質に不安がある」の世間一般のイメージがあると思いますが結論的には本足場よりも数段安全です。ブランコ足場もしくはロープアクセス工法はメインロープとライフラインの2本のロープ(特殊な産業用)で引っ張り強度が2200㎏まで耐えうるものを使います。これは体重100㎏の人が21人までぶら下がっても切れないことを意味します。
メインロープに下降機、ライフラインに墜落防止器具を装備します。彼らは不安定な体制でも実にうまくバランスをとり施工します。日頃の作業訓練による特別なバランス感覚を持っているのですね。
品質的にも本足場による施工と比較しても同等の水準であると思いますが、職人さんの腕の良し悪しは当然ありますので第3者検査はしたほうが良いと思います。
本足場はつまずき・転倒リスクがある
やはり本足場は見た目の安全性は抜群に良いです。本足場も安全帯を2つ架けるタイプ(2つのフックを仮設構造部物や親綱に架ける)が義務図けられていますので、安全ではありますがあのような骨組みの中で全ての作業や移動中に常時安全帯を架けるのは現実できません。また資材が多すぎるのでつまずき転倒の事故が絶えません。
全ての工事を無足場・本足場と決めつけることではなく、診断結果により使い分けるほうが経済的・品質的に最適効果となるでしょう。診断結果、不良部が広範囲の場合は本足場の採用をお勧めします。
施工品質
■無足場工法
垂直に連続する工事(縦トヨ・フード・縦シーリング・窓周りなど)に最も効果的です。塗装・シーリング・防水・タイル高圧洗浄なども十分に可能です。水平部の施工可能範囲はロープの中心から左右1m合計2メートル範囲が施工できます。タイルの不良部範囲がピンポイントで数量的に少ない場合は向いています。
高圧洗浄や塗装工事で飛散するときは屋上のパラペットから突梁を出してメッシュシートを貼れば飛散防止も問題なくできこのシートは水平移動できるので視界が常時さえぎられるわずらわしさはないです。
■本足場
外壁診断の結果、タイルの不良部が広範囲などの場合は本足場にすべきです。はつりなど落下物のリスクが増えるのでここは足場コストよりも品質・安全性を優先したいですね。あくまで診断結果により足場選定しないと修繕積立金は減ってしまいます。